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Fine Arts Printing
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COLUMN お知らせ・コラム
オーバープリント設定を理解して、ラベル・シール印刷のデータに役立てよう
皆さんはオーバープリント設定という言葉をご存知でしょうか?聞き慣れない言葉ですが、印刷においてオーバープリント設定は、使い方次第で印刷物の見やすさが大きく変化するほど、とても重要な役割を持っています。
今回のコラムでは、オーバープリント設定とは何か、ラベル・シール印刷におけるオーバープリント設定の利用目的と適用させる色についての注意点などを詳しく説明します。オーバープリント設定の理解を深めて、正しくお使いいただき美しいラベル・シールを作りましょう。
【目次】
1.オーバープリント設定とは何か?
2.オーバープリント設定の利用目的
3.オーバープリント設定を適用させる色についての注意点
4.白色のオブジェクトのオーバープリント設定は要注意
5.今回のまとめ
オーバープリント設定とは何か?
オーバープリント設定とは、前面にのったオブジェクトの色と背面にひいてある色を重ねて印刷する色設定のひとつです。別名「ノセ」とも呼ばれています。
オーバープリント設定をすると、前面と背面の色が重なり色が混じった状態で印刷が仕上がります。
通常は、前面にのったオブジェクトの色と背面にひいてある色が、重ならない状態で印刷されるようにIllustratorは設定されています。これを「ケヌキ合わせ」といいます。
ケヌキ合わせは、前面と背面の色が混ざらないので、色が混ざると困るデザインの際は、オーバープリント設定をせずにケヌキ合わせで作成します。
オーバープリントの設定は、Illustratorのウィンドウ項目にある属性パネルで、オーバープリントにチェックを入れることよって設定できます。
オーバープリント設定の利用目的
ラベル・シールを含め多くの印刷物には、多色印刷の際に起きる版ズレ(見当ズレ)によってわずかに印刷のズレができてしまいます。
細かいスミ文字などをケヌキ合わせで作ってしまうと、ほんの少しでも版がズレてしまった際に、白い地の色が見えて読みづらくなってしまうことがあります。この印刷のズレを目立たなくするためのひとつの方法として、オーバープリント設定を利用すれば、こうした版ズレを防ぐことができ、わずかな版ズレならば目立たなくなるのです。
もちろん、意図的に色を重ねたデザインを作りたい時にもオーバープリント設定は使えます。
オーバープリント設定を適用させる色についての注意点
細かいスミ文字などの版ズレを防ぐには効果的なオーバープリント設定ですが、ブラック100%以外の色のオブジェクトにオーバープリント設定をした場合、背面の色によっては色が意図せぬ色に変わってしまいますので注意が必要です。
試しにシアン100%の帯の上にマゼンタ100%、イエロー100%、ブラック100%の3色をのせたものを用意しました。同様にマゼンタの帯とイエローの帯の上にも他の3色の100%をのせています。それぞれの帯にのせた3色の四角の塗りにオーバープリント設定をしてみました。背景の帯の色と前面の四角の色が混ざっているため、色が変わってしまいます。
ブラック100%の部分はあまり変化がないように見えますが、背景の帯の形を小さく変えてみると下の色が透けていることがわかります。そして、背景の色との境目が見えてしまっています。オーバープリント設定をする場合、オブジェクトの背面にひいてある色との境目が出てしまうようなデザインにも注意が必要です。
白色のオブジェクトのオーバープリント設定は要注意
例えば、ピンクの背景と黒色の文字のデザインで、黒色の文字オブジェクトにオーバープリント設定をしたとします。しかし、途中修正が入り黒色の文字を白色に変更した場合、オーバープリント設定が入ったままの白色の文字部分は透明と認識され、印刷をすると文字部分が消えてしまいます。
デザインデータ上では見えている白色のオブジェクトが、印刷したら消えてしまったというようなトラブルも起こりますので、文字などを他の色から白色に変えた時には特に注意が必要です。トラブルを回避するためにも、意図せぬオーバープリント設定はしないようにしましょう。
またオーバープリント設定は、Illustratorのウィンドウ項目にある分版プレビューパネルで、オーバープリントプレビューにチェックを入れて確認することができますので、データ入稿前に確認することをおすすめします。
今回のまとめ
オーバープリント設定は、色の上に色を重ねて印刷する色設定のひとつで、版ズレを防ぐための方法のひとつでもあります。オーバープリント設定の利用目的と適用させる色についての注意点を理解してお使いいただきますと、美しいラベル・シールの印刷仕上がりになります。
また白色のオブジェクトのオーバープリント設定に注意することで、事前にトラブルを防ぐことにも繋がります。
ラベル・シール印刷のデータ作成の際に、今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。その他、データ作成についてのご質問がございましたら、お気軽に山田美術印刷までお問い合わせください。