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COLUMN お知らせ・コラム
美しく見せる!違いで魅せる!奥深い「黒」の種類と使い方
“黒”といえば、ひとつの色を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実は“黒”にはさまざまな種類があることを知っていますか?
例えば、絵の具を使用しさまざまな色を混ぜ合わせると全ての色味が消滅し“黒”になります。一方、デジタルではさまざまな色を混ぜ合わせると“白”になります。デザインの分野でも、“黒”と一言で表しても、純粋な黒から深みやニュアンスを持たせた黒までさまざま。では、“黒”にはどのような違いがあるのでしょうか?
今回のコラムは、奥深い“黒”の世界について掘り下げていきます。
【目次】
1. ラベル・シールのデザインにおいてお客様の印象をガラリと変える3つの“黒”
・スミベタはオーソドックスな黒。成分表示や文章の文字によく使われる
・リッチブラックは重厚感がありずっしりとした高級感を表現できる
・4色ベタは濃い黒を表現できるが裏移りや版ずれの可能性がある
2.その他にもラベル・シールで“黒”を表現する方法はたくさんある
3.一方でデジタル媒体の黒は目に優しく読みやすいグレーに近い黒が一般的
3.今回のまとめ
ラベル・シールのデザインにおいてお客様の印象をガラリと変える3つの“黒”
ラベル・シールにおいて“黒”は、デザインの印象を大きく左右する重要な色です。文字や背景、グラフィック要素など、あらゆる場面で使われるため、適切な“黒”を選ぶことが仕上がりのクオリティを左右します。
しかし、一口に“黒”といっても、ラベル・シールの世界にはいくつかの種類が存在します。用途や目的に応じて使い分けることで、視認性や高級感、インパクトを調整することが可能です。お客様への印象も変わり、商品のブランド価値やメッセージ性も変わるのです。
代表的なのが以下の3つの“黒”です。
・ スミベタ
・ リッチブラック
・ 4色ベタ
スミベタはオーソドックスな黒。成分表示や文章の文字によく使われる
スミベタとは、CMYKカラーのうち、K(ブラックインク)のみを100%使用して表現する黒をスミベタといいます。これは、他の色(シアン、マゼンタ、イエロー)を一切使用しないため、純粋にブラックインクの濃度だけで色を表現します。印刷スピードも早くインクコストが削減できるのでモノクロ印刷には欠かせません。広い面積でスミベタを使用する際は、特に印刷データを直接紙に印刷するオンデマンド印刷にて印刷を行う場合は特に色ムラが出てしまうことがあるので注意が必要です。
一般的なラベル・シールに使われているのがこのスミベタです。コストも抑えることができイラストなどによく使われます。しかし、使う原紙によっては“白っぽい黒”になりがちです。食品成分表シールなどは問題ありませんが、商品ラベルとして使う場合は注意が必要です。
リッチブラックは重厚感がありずっしりとした高級感を表現できる
リッチブラックとは、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の複数のインクを混ぜて作る深みのある黒をリッチブラックと言います。具体的には、K(ブラックインク)100%に加え、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を少量加えることで、より濃く、豊かな質感の黒を再現します。リッチブラックではK(ブラックインク)100%の黒よりも視覚的に深く引き締まった印象を与える黒が作られます。
“深みのある濃い黒”を印刷できるので、重厚感があり高級感や高品質なイメージのラベル・シールにおすすめです。
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4色ベタは濃い黒を表現できるが裏移りや版ずれの可能性がある
4色ベタの黒とは、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のすべてのインクを最大値(通常100%)で使用して表現する黒を4色ベタと言います。この方法では、C:100%, M:100%, Y:100%, K:100% という設定で印刷され、非常に濃く、視覚的にインパクトのある黒が得られます。しかしインクの量が多くなることで紙の変形やコストが上昇、裏移りや版ずれの原因になるので、4色ベタの黒は推奨しておりません。
ラベル・シールについても同様です。“深みがある濃い黒”のラベル・シールを制作する場合には、リッチブラックで十分表現できるでしょう。
その他にもラベル・シールで“黒”を表現する方法はたくさんある
これまでに紹介した“黒”に加え、別の表現方法で“黒”をラベル・シールに落とし込むこともできます。
例えば、“スミベタを2回印刷する黒”ではより濃厚で深く均一な“黒”を表現できます。また、“特色の黒”を使用することで通常のプロセスカラーでは表現できない独特な風合いも可能です。さらに、“黒の原紙に印刷する”ことで紙の質感を生かしたラベル・シールを制作することも可能です。
一方でデジタル媒体の黒は目に優しく読みやすいグレーに近い黒が一般的
デジタルの黒は、印刷の黒の表現方法と違います。印刷の黒はCMYKで表現されており色の三つの原色を重ねていくと明るさが減り、黒になっていきます。デジタルの黒はRGB(光の三原色)で表現されており、CMYKに反し三つの原色を重ねていくと明るさが増し白になっていき、原色がないときは黒になります。そして配色に関して、印刷では文字色で黒一色(真っ黒)はよく使われますが、デジタルの文字色では漆黒のような真っ黒は、あまり使用しません。検索エンジンの検索結果一覧に真っ黒の文字が使われていないことにはお気づきでしょうか?検索エンジンやSNSなどを見てみると文字色は真っ黒ではなく明度10%〜30%程度の黒に近いグレーを使用していることが多いのです。
デザインの読みやすさはターゲットの年齢層によっても異なるものの、「真っ白の背景に真っ黒の文字は読みにくく目が疲れてしまう」というユーザーファーストの観点に基づいてデザインされた配色になっていることがわかります。
今回のまとめ
“黒”を使ったデザインは、重厚感や高級感を演出し洗練された雰囲気をラベル・シールで表現ができます。適切に使うことで、引き締まったイメージや、他の色とのコントラストを強め、視覚的に大きなインパクトを与えます。扱う商品やブランドのイメージ、ターゲット層に合わせてラベル・シールの黒を使い分けることにより、より一層商品の魅力をお客様に伝えられるでしょう。
もし、今お使いのラベル・シールがイメージ通りの“黒”ではない場合は是非ご相談ください。適切なデザインや印刷方法、原紙の選定をすることにより、“理想の黒”に近づけられるかもしれません。同じ黒でも色の差で行うデザインや質感による違いなど、さまざまな方法での演出ができます。山田美術印刷ではイメージ通りのラベル・シールを演出するお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
そして、さまざまな「黒」の違いを目で見て楽しんでいただければと思います。